猫事情⑥。脱走中の黒白ハチワレ鍵しっぽの小鉄。
昨日の夜仕掛けをしていた、捕獲器。
仕掛けて、2時間後にはまだ誰も入っていなかった、夜中2時にも入っていなかった。
今朝、旦那が確認しにいったら、慌てたように戻ってきた。
私はまだ眠くて、布団の中。
「黒白の猫がかっている!」
「本当!」
慌てて、布団から出る。
眠い中、今朝のお弁当のおかず何にしようと考えていたのが、吹っ飛んだ。
捕獲器を、明るいところに持ってくる。
「小鉄?」声をかけるが、反応がない。
背中に白い模様がない、黒一色だ。何というのか模様のない黒と白のツートン。
横から見ても、模様がない。黒白に分かれているだけだ。
鼻はピンクだけど、一部黒い。耳が切れている。TMRをしているしるしだ。
目はよく似たくるりとした薄いグリーン色をしている。
「違うね。毛の色が、真っ黒というより少し、薄いね。模様もないし、鍵しっぽでもないから、逃がしてあげよう」
開放すると、一目散に走って行った。
あの子はここに来れば餌があると認識したかもしれない。
他の野良猫が来ていたら、小鉄が、来ないかもと少し、不安になった。
旦那には、言えない。
凄い落ち込みだから。
小鉄ちゃん、早く帰っておいで。あなたの大好きなパパさんが、病気になっちゃうよ。
「小鉄、どうしているのか。何で、出てこないのかな?」
「捕まるかな?」
「君、感じる?どう思う?」
私の感を、聞いてくる。
正直、すぐに結果が出ない、時間がかかると感じている。
戻ってこないのじゃないかというような感じはしないのだけど、じゃあ、戻ってくるんだと言われれば、直ぐじゃあないと言うことかな。
明確なピジョンが浮かばない。
先日目撃したのは、小鉄だと、確信できるけど、だったら戻ってこないのは、やっぱり警戒心と、恐怖心の為だろうか。
「うん、直ぐに結果が出るという感じはしない」
「じゃ、どのくらいかかる?」
「何とも言えないよ」
旦那は、今まで、小鉄ばかりというか、小鉄が鈴たちより10日間早く、保護して自分が世話をし、他の子たちが保護される頃には、慣れていたので、どうしても、思い入れが違うようだ。
兄弟猫の福丸に対して、朝起きたら、小鉄にしていたように、抱っこをしている。
福丸が、「ぱぱさん、どうしたの?」と言いたげに、旦那のされるまま、おとなしく抱かれている。
福丸は、なでられるのは大好きだけど、抱っこが嫌いで、抱こうとしたら逃げるネコさんだ。
でも、旦那の気持ちを汲んでいるのか、抱っこされても逃げずにいる。
猫は、いつもいる私、餌をくれる私に、みんななついてくる。だから、小鉄も、私が移動したりすると、すぐに追いかけてくるようになっていた。
私のベットで寝ている猫たち、4匹が私のベッドを占領している。
それだから、夫はちょっと寂しそうだった。
その夫がかわいがっている小鉄に、私が、べたべたしたら、もっと私になついてしまうだろうから、小鉄に対してはあまり、構わないようにしていた。
でも、いたずらをして、注意されると、すぐに、お腹を見せてゴロゴロと転がりあざとい可愛い顔をする。
旦那のことなど考えずに、もっと、コミュニケーションを摂っていたら、鈴や、茶々のように呼んだら、すぐに帰ってくる子になっていたのだろうか。
色々と悔やまれるが、致し方がない。後悔先に立たずだ。
夫は、小鉄たちを保護した時に、マイクロチップを入れるかと聞いたら「いれない」と言っていたのに、「小鉄が帰ってきたら、マイクロチップをみんなにいれる」と。
茶々は、私がお金を出して、去勢した時にいれている。
茶々を保護した時は、私が飼いたいと言ったのでかかる費用は、全部私持ちだったので。
正直、今朝のように、黒白の猫が他にも近所にいたんだと思うと、ちょっとショックを受けている私が居る。
まして、ここの家に餌があるとわかってしまったら、小鉄が、寄りにくいのではと心配している。
猫とのかくれんぼと鬼ごっこは、人間では負けのほうが多いなと、勝てないなと思っている私だ。
今は、戻って来い小鉄と、電波を飛ばすしかない。
「一回、姿を確認しているから、ほっとしているんかな」
「だれが?」
「俺が。捕まらんでも、生きていてくれたら」
そうなんだと思いつつ強がりだなと。
落ち込みつつ、仕事に行こうとしたが、「昼間はかからないかな?」
「それはわからないよ、ゼロではないと思うけど。可能性がないこともないから、置いてきたら。私が時々確認してくるから」
「うん」と肩を落として、出ていった。
小鉄、本当に早く戻っておいで。